Running Auto-Vectorized Program on RISC-V Vector RTL Simulator

riscv-vector-vicuna-simulator

Luffcaでは、RISC-V “V” vector extension(RVV)を利用するため、LLVM/Clangの自動ベクトル化を用いてプログラムをビルドし、RVV仕様v1.0に準拠するVicunaのRTLシミュレータ上で実行しました。

関連記事は、こちら。

Vicuna – a RISC-V Zve32x Vector Coprocessor

Vicunaは、SystemVerilogで記述されたオープンソースの32ビット整数ベクトルコプロセッサで、RVV仕様のバージョン1.0を実装しています。

より正確には、Vicunaは、組み込みプロセッサを対象としたベクトル拡張のバリアントのZve32x拡張(執筆時点では除算命令を除く)に準拠しています。この拡張は、ベクトル要素幅の8、16および32ビットをサポートし、64ビット要素や浮動小数点のサポートを必要としません。

なお、Vicunaはコプロセッサなので、メインプロセッサが必要となります。執筆時点において、メインプロセッサとしてOpenHW GroupのCV32E40XまたはlowRISCのIbexの変更版を利用できます。

Vicunaリポジトリから引用した下図が、Vicunaの概要を示しています。

vicuna_overview

RISC-V Vector RTL Simulator

今回は、デフォルトのVerilatorを用いてRTLシミュレータを作成しました。

VicunaのtestディレクトリのREADME.mdによると、VivadoのxsimまたはQuestasimを用いてRTLシミュレータを作成することも出来るようです。

Automatic Vectorization for RVV in LLVM/Clang

RVVの自動ベクトル化を利用するために、Clangに2以上の-Oオプションと-mllvm --riscv-v-vector-bits-min=オプションを追加します。

matmul_vec.cからVLEN=128のVicuna用アセンブリコードを生成する場合、以下のコマンドを実行します。

clang --target=riscv32 -march=rv32imzve32x -mabi=ilp32 \
  -O2 -mllvm --riscv-v-vector-bits-min=128 \
  -S matmul_vec.c

以下がmatmul_vec.cのコードです。

#include <stdint.h>

void matmul_vec(int n, int16_t* a, int16_t* b, int32_t* c) {
  int i, j, k;
  for (i = 0; i < n; ++i) {
    for (j = 0; j < n; ++j) {
      for (k = 0; k < n; ++k) {
        c[i * n + j] += (int32_t)a[i * n + k] * (int32_t)b[k * n + j];
      }
    }
  }
}

以下のコードは、生成されたmatmul_vec.sの抜粋です。また、アイキャッチ画像は、ビルドしたプログラムのllvm-objdumpからの抜粋です。

...
.LBB0_8:
        addi    s4, s3, -8
        vsetvli zero, zero, e16, mf2, ta, mu
        vle16.v v11, (s4)
        vle16.v v12, (s3)
        add     s4, s1, t2
        vlse16.v        v13, (s1), t0
        vlse16.v        v14, (s4), t0
        vwmacc.vv       v9, v13, v11
        vwmacc.vv       v10, v14, v12
        addi    s3, s3, 16
        addi    s2, s2, -8
        add     s1, s1, t1
        bnez    s2, .LBB0_8
        vsetvli zero, zero, e32, m1, ta, mu
        vadd.vv v9, v10, v9
        vmv.s.x v10, zero
        vredsum.vs      v9, v9, v10
        vmv.x.s s1, v9
        mv      s4, a6
        beq     a6, a0, .LBB0_4
.LBB0_10:
...

Running Auto-Vectorized Program on Simulator

以下は、make runを実行したときのコンソール出力を示しています。

$ make run
../Vvproc_top_128_32 test_matmul.txt 32 262144 1 1 /dev/null
A, B:
  1   2   3   4
  5   6   7   8
  9  10  11  12
 13  14  15  16

C_normal:
  90  100  110  120
 202  228  254  280
 314  356  398  440
 426  484  542  600

C_vec:
  90  100  110  120
 202  228  254  280
 314  356  398  440
 426  484  542  600

Passed.

matmul_normal: 1049 cycles
matmul_vec:    1251 cycles

まとめ

Luffcaでは、RISC-Vベクトル拡張(RVV)を利用するため、LLVM/Clangの自動ベクトル化を用いてプログラムをビルドし、RVV仕様v1.0のZve32x拡張に準拠するVicunaのRTLシミュレータ上で実行しました。